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漢方製剤の基礎知識|漢方選びで失敗しないために

登録販売者の資格勉強をしていると、漢方製剤についての記述を目にする機会が多いと思います。

漢方という言葉はよく耳にするけど、葛根湯くらいしかピンと来ない…なんて方も多いのではないでしょうか?

吉田
吉田
実はわたしがそうでした…。

漢方は知ってるけれど、漢方を選ぶ基準を知っている人となるともっと数は少なくなるでしょう。

資格の勉強をしている人だけでなく、漢方に興味がある人も、漢方の基礎知識を簡単に、わかりやすく説明していきますので、ぜひ読んでみてくださいね!

漢方薬とは

漢方薬は漢方医学で薬剤全体を広く表現するときに使われます。

漢方=中国医学で使われる薬」と思い浮かべる人もいるかもしれませんが、中国の伝統医学(中医学)の薬とは全くの別物です。

吉田
吉田
ちなみに、中医学の薬は「中薬」と呼ばれているんです。

日本のお隣の国、韓国の伝統医学は韓医学といい、こちらは「韓方薬」と呼びます。

中薬、韓方薬ともに「漢方」とは区別されていて、「漢方」と表記されているものは日本の伝統医学に基づいた薬のことです。

漢方独自の体質の見分け方

漢方には漢方医学独自の理論に基づいて、体質を見極めることが必要不可欠です。

吉田
吉田
体質を見誤ってしまうと、薬の効果が現れなかったり、重い副作用を招く恐れも…。

虚実・陰陽・気血水・五臓など」の考え方を元に体質・病態を把握し、患者に合う薬を処方していきます。

漢方自体は日本の伝統医学に基づいた考えをしていますが、陰陽、気血水、五臓は中医学の考えが元になっているようです。

病院で漢方を処方されるときに、症状とまったく関係の無さそうな部分まで問診を受けるのは、体質を見極めるため。

本来、上記の考え方は漢方用語で「証」と呼ばれてきましたが、セルフメディケーションが浸透するに従って、「しばり(使用制限)」としての記載に変更されました。

セルフメディケーションとは

軽度の疾病などは自分自身で手当、治療するという考え方

吉田
吉田
では、ここからは「証(しばり)」について説明していきますね!

漢方における虚実とは

証の分け方のひとつに、「虚実」というものがありますが、これは漢方における体質の表現方法です。

虚証と実証の2種類に分けられ、体力や抵抗力がない状態の人を「虚証」といい、逆に体力や抵抗力が充実している状態の人を「実証」といいます。

虚証・実証のちょうど中間の状態は「中間証」です。

虚証
  • 体力がない
  • 体が細く、華奢である
  • 顔色が悪い
  • 寒がり・冷え性
  • 胃腸が弱く、下痢をしやすい

弱々しそうに見える人のことを指す場合が多いです。

実証
  • 体力がある
  • 肉付きが良い・筋肉がある
  • 顔色が良い
  • 暑がり
  • 胃腸が強く、便秘気味

いかにも元気に見えるひとのことを指す場合が多いです。

虚実の表現方法

漢方は虚実によって向き不向きがあり、薬が適応する体質のことを「体力」と表現します。

体力の表現
  • 実証が適応となるもの:体力が充実して
  • 中間証が適応となるもの:体力中等度で
  • 虚証が適応となるもの:体力虚弱で
  • 虚実に関わらず使用できるもの:体力に関わらず

この体力を基準に、残りの「陰陽・血気水・五臓」を当てはめて考えていきます。

漢方における陰陽とは

陰陽もまた漢方において重要な指針のひとつです。

陰証・陽証で区別され、虚実と同じく体質・病状を見極めるのに使われます。

陰証
  • 悪寒がする
  • 喉が乾かない・乾いても熱い物を飲む
  • 夏でも熱い飲食物を好む
  • 寒がり・冷え性
  • 冷房が苦手
陽証
  • 発熱がある
  • 口渇が強い
  • 冬でも冷たい飲食物を好む
  • 暖房が苦手

陰の病態は「疲れやすく、冷えやすい」など寒性を示す表現がされていて、陽の病態は「のぼせ気味で顔色が赤い」などと熱のような症状として表現されます。

漢方独自の考え方|気血水(きけつすい)とは

人間の生命活動に必要な3つの要素の総称です。

気はエネルギー(生命力)、血は血液、水は体液のことを指します。

気(エネルギー)とは

上にも書いた通り、気はエネルギーであり、生命力です。

身体のあらゆるところを動かしていて、車に例えるならガソリンのようなもの。

気血水における血・水といった血液、体液の流れをスムーズにして新陳代謝を高める働きをしています。

吉田
吉田
ただし、血・水とは異なり、気の実態は不明です。

病態としては気虚・気鬱・気逆といった表記がされています。

血(血液)とは

血液といえば、生命活動に必要不可欠なものです。

生命活動はもちろん、健康維持のために身体の隅々まで酸素や栄養素を運び、老廃物まで回収する役割があります。

血の働きが悪いと疲労感や肩凝りの原因に。

病態としては血虚・瘀血(おけつ)といった表記がされています。

水(体液)とは

血液以外の体内にある水分のことを指します。

吉田
吉田
例えば…涙や胃液、唾液、汗など。

身体全体を潤していて、体内を循環しては体温調節や関節の動きを滑らかにする働きがあります。

身体をスムーズに動かすのに必要不可欠な要素です。

病態としては清虚・水毒(水滞)と表記がされています。

漢方における五臓とは

心(しん)・肝(かん)・脾(ひ)・肺・腎という5つのグループに分けられます。

吉田
吉田
漢方製剤の説明で、「脾胃虚弱」と書かれているものについては「胃腸が弱い」と考えてください。

5つのグループについては、これから簡単に説明していきますね!

心(しん)とは

主に心臓のことを指し、循環器系に関係する臓器、機能の総称です。

心臓、血管系の機能をコントロールしています。

肝(かん)とは

肝臓のことを指し、中枢神経系・自律神経系・循環器系などの機能を併せ持っています。

情緒の安定などに関与していて、機能が低下すると不眠やイライラに繋がることも…。

脾(ひ)とは

胃腸と脾臓のことを指し、主に消化器官の機能を司っている部分です。

脾の機能が低下すると、味覚障害や口内炎など、口に病状が現れやすいと言われています。

肺とは

肺という漢字を見ると、呼吸器だけの機能にも思えますが、皮膚や体温、免疫機能にも関わっています。

実は体内の水分調節機能も肺がコントロールしているんですよ

肺の不調は鼻や喉に現れやすいと考えられています。

腎とは

漢字の通り、腎臓のことを指します。

生殖器系、ホルモン系、造血系、中枢神経系などと機能が幅広いのが特徴です。

吉田
吉田
生命力(バイタル)のエネルギー貯蔵庫とも言えますね!

腎の機能が低下すると、慢性病やホルモンバランスの不調により更年期障害、生殖器系の機能にも支障が出るため不妊の原因にもなると言われています。

漢方で気をつけるべきこと

漢方=やさしい医薬品」という考えで副作用が少ないと思っている人がいますが、それは間違いです。

漢方もれっきとした医薬品で、重篤な副作用を招くこともあります。

間質性肺炎や肝機能障害が重篤な副作用の例です。

漢方は用法・用量において、適応年齢の下限が設けられていないことがあります。

そのような場合でも、生後3ヶ月未満の乳児には使用してはいけません。

吉田
吉田
量を減らしたってだめですよ!

上記で長々と説明した「証」に適さない漢方を服用したことで、症状の悪化や副作用を引き起こす可能性があります。

漢方といえど医薬品であることに変わりはないので、服用の際は自分に適したものかどうかをしっかり見極めましょう!

漢方は独自の考え方を知ると理解が深まる:まとめ

漢方と、日常的によく使用するカタカナで表記された医薬品(洋薬)と比べると、大きく異なった考え方をするのを知っていただけたかと思います。

この記事を読んでもらった上で、葛根湯など身近な漢方製剤を改めて見てみると面白いかもしれません。

吉田
吉田
また、日本医学・中医学・韓医学といった東洋医学についていろいろと調べると、考え方などの違いを知ることができますよ!
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吉田
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